スイニャンさんインタビュー!LOLと出会った経緯や今後の目標について聞いてみた!

今回はLJLの韓国人選手への通訳でおなじみの、スイニャンさんにインタビューをさせていただきました。スイニャンさん自身もライターをしていて、僕からすれば先輩になる方でもあります。

―― こんにちは。今日はありがとうございます。さっそくですが、韓国語を覚えた経緯からお願いします。

スイニャン:韓国語に関しては、音楽から入ったんです。もともと中国の音楽が好きで、今で言うC-POPを聞きつつ中国語の勉強をしていました。その流れで、タイや韓国の曲も聞き始めて、韓国語のほうが好きになったので韓国に留学したんです。今でも独学で韓国語を勉強しています。

―― 噂では「韓国語はスタークラフトから覚えた」みたいなのが流れているのですが、それは本当なのでしょうか?

スイニャン:それは逆で、まず韓国語がある程度ちゃんとしたレベルになってから、留学先の韓国でEスポーツとスタークラフトに出会いました。私は当時、Eスポーツを韓国独自の文化だと思って受け入れていたんですよ。

韓国語ができるようになったからこそ、海外にしかないコンテンツのEスポーツを楽しめたのだと思います。

―― 日本のLOLをしている人の殆どがNAから流れていることから考えると、全く違いますね。どうしてLOLに興味をもたれたのでしょうか?

スイニャン:スタークラフトのプロゲーマーの一部が、LOLに移り始めたことがことがきっかけです。スタークラフトのプロシーンを追いかけながら、そういった選手たちの動向を追いかけ続けているうちに、LOLも少しずつ覚えていきました。

スタークラフトは完全に韓国語で覚えましたが、LOLも入り口は韓国語で覚えました。

―― LOLでは何か日本語と韓国語で違いはありますか?

スイニャン:アイテム名がほとんど韓国語に翻訳されているのが、日本語との大きな違いだと思います。チャンピオン名はわりと似ているんですけど、有名なのは長音、いわゆる伸ばし棒が「る」になるところです。ナーはナル、コーキはコルキ、オーンやジャーバンはオルンとジャルバンになります。

日本人選手でも、チームに韓国人がいると影響を受けて、そちらで呼ぶ人が結構いますね。あとはレーン戦をライン戦と言ったりしますが、LJLで通訳をするときは、韓国の言い方と混ざらないように注意しています。

―― 先程タイ語や中国語も勉強されたと言っていましたが、どれくらい外国語ができるのでしょうか?

スイニャン:韓国語はビジネスレベルでできますけど、中国語は日常会話レベルだと思います。中国や台湾のチームのインタビューを何度かしたのですが、聞き取りが難しかったですね。読解は比較的得意なので、メールインタビューみたいに文字で起こしてもらえればわかります。

タイ語は1年間勉強しましたが、ちょっと忘れちゃって・・・。お買い物やタクシーに乗ったりはできるので、タイに一人で旅行ができる程度です。

―― もともと通訳の仕事はされていたのでしょうか?

スイニャン:通訳の仕事は、一応経験者です。韓国には留学と合わせて5年間いましたが、日本語教育能力検定試験の資格をとって日本語教師として2年間働いていました。

それとは別に日本のバイヤーさんが買付するときや、日本の企業の方が商談する時に頼まれてビジネス通訳として入ることも副業でしていたんです。

―― 結構バリバリ仕事されていたのですね。そんなスイニャンさんがどういう経緯でLJLの通訳として働くことになったのでしょうか?

スイニャン:もともと日本ではEスポーツが知られていなかったので、韓国のEスポーツを広めるべくライターをしていました。ただしスタークラフトに限る!でしたが(笑)

でも当時LJLの記事を書ける人がいないということで、RIOTさんがまだ大会を運営していない頃SANKOさんに記事を書いてくれないかと頼まれて、オフラインで開催されていた開幕戦と最終戦だけ公式の記事を書き始めたんです。

2015年の夏、開幕戦に行くとLJLの6チーム中、3チームに韓国人選手が一気に加入していました。Tussle選手、Dara選手 Alvingo選手 SSuN選手Rokenia選手だったと記憶しています。

―― めちゃくちゃ懐かしいですね。確かRPG、7th、DFMの3チームに入ったんですよね。

スイニャン:そうです。そしてやっぱり韓国人選手は上手くて、めちゃくちゃキャリーしたんです。運営も、そこまでキャリーするのは想定していなかったのか「韓国人選手にインタビューをしたいね」という流れになったのですが、通訳がいない状態で。

だから「お願いできませんか?」とその場で頼まれて通訳をしました。

―― 僕それ見ていましたよ。通訳用意しているとか流石だなと思ってみていましたが(笑)

スイニャン:あれは即席だったんです。私は「プレス」って書いたタグを、首からかけてやっていましたよ(笑)確か最初に通訳したのは、Rokenia選手だった気がします。その後3回ほど頼まれたあと、正式にオファーされました。

―― 少し話が変わるのですが、確か旦那さんが韓国人の方ですよね・・・その馴れ初めと言うかその辺りも聞いていいですか?

スイニャン:ええ?!恥ずかしいですね(笑)韓国に行ってから彼と出会って、最初はずっと韓国語で話していたんですけど、だんだん日本語に興味を持ってくれるようになりました。その後、日本自体にも興味を持ってくれて、日本に住みたいと言うようになったんです。

―― それでは、日本に戻ってきた理由はそれなのですか?

スイニャン:完全にそれです。私としては韓国にずっと住んでも日本に戻ってきても、どっちもいいなという気持ちだったので。彼が日本を選んだので戻ってきたと言う感じです。

―― 旦那さんはLJLを見に来たことはあるのでしょうか?

スイニャン:あったかな・・・。多分ないです。彼はFPSやスタークラフトが好きで、LOLはあまりしないんですよね。

―― やっぱり旦那さんもスタークラフトはしているんですね。

スイニャン:スタークラフトは、韓国では国民のゲームなので。

―― スイニャンさんはスタークラフト大会配信を行われていますよね。僕はスタークラフト2しかやったことが無いので、わからない部分も多かったのですが、面白かったです。

スイニャン:スタークラフト2は、また別の方がやってくれているのですが、スタークラフト1の方は誰もやっていなくて、せっかくafreeca TVさんが大会コンテンツを持っているのに誰も利用しないのはもったいないなと思い、正式に許可をいただいて日本語配信をはじめました。

――スタークラフト2が出ているのに、スタークラフト1がまだ大会としてあるのはすごいですよね。

スイニャン:スタークラフト1は韓国内だけですけどね。でもLOLの方たちがどれくらい認知しているかわからないのですが、スタークラフト2はまだまだ世界的にも大会が行われているくらい人気のコンテンツです。

私の配信しているのはスタークラフト1ですが、日本でプレイされているのはほぼスタークラフト2なので、頭の中で混ざったりすることもあります。

―― スタークラフトの魅力はどんなところでしょうか?

スイニャン:LOLをしている皆さんからすると、似ているところもあると思います。反射神経などのフィジカルや、戦略性ですね。LOLとは違うのは、まず一人で全てやること。そしてスピード感ですね。

序盤から常に集中力が必要で、同時にたくさんのことを考え、そしてそれを操作し続けるゲームです。私の考えとしては個人のスキルがより求められるし、試合にも大きくそれが反映されると思っています。

LOLももちろん個人の力が必要だけど、それが直接勝利に結びつかないことがありますよね。チームゲームなので自分中心にということが難しいゲームで、各個人のスタイルをチームのために抑えたりもしますし。

LOLはチーム単位で魅力を感じることが多いですが、それと比べてスタークラフトは、選手個人の魅力をより感じ取れるかなと思います。

――この前Blank選手の操作量が話題になった時に、ツイッターでスタークラフトの選手の動画をツイートしていましたよね。僕もスタークラフト2は少しやったのでわかりますけど、本当に!本当に忙しい・・・。

スイニャン:スタークラフトの魅力の大きな要素として、色んなことを同時に行ったり考えたりする、マルチタスクがあります。試合のカメラマンが追いきれないくらい同時に、いくつもの戦闘が行われたりします。まさに異次元の神々の遊びですね。誰もついていけません。

―― LJLの話に戻りますが、LJLではレギュラーシーズンがオフライン大会で行われるようになって2年になります。韓国のEスポーツを、体験してきたスイニャンさんから見てどうでしょうか?

スイニャン:チームを応援している人が増えた気がします。昔はプロを見ても「ただ上手いプレイやスーパープレイを見たい」みたいな状態が続いていた気がするんですよね。これはLOLに限らずですが。

でも今は、特定のチームやプレイヤーを応援している人が増えてきていて、それがとてもいいことだと思います。

私が韓国のEスポーツに触れてきて思うのは、スタークラフトのファンたちは今よりもずっと昔、10年以上前から皆さんが知っているようなTelecom Wars(SKT vs KTの通信会社同士の戦い)をしているわけです。

―― 10年以上前はすごいですね!

スイニャン:あれを私はずっと見てきているので、Eスポーツをそういうものだと思っていました。SKTファンがいて、KTファンがいて、時には相手のファンを悪く言うくらい自分の好きなチームを愛して応援して。日本で言えばプロ野球の阪神巨人のような感じですかね。

―― 僕は阪神ファンなのでよくわかりますよ。甲子園では目の前の阪神が負けているのに、他球場の途中経過で巨人が負けていたら歓声が湧いたりしていましたね。

スイニャン:それはすごいですね(笑)その行為がいいか悪いかは別として、そういう文化ってあるじゃないですか。私はスポーツ観戦ってそういうものだと思っていて、「E」がついたからって何も変わらないと思っています。

なので今の特定のチームやプレイヤーを応援しているファンが増えてきているのが、ファンミーティング等で可視化されていきていて私は嬉しいです。

―― 昔からDFMとRPGファンは多かったですね。

スイニャン:レギュラーシーズンをオフラインでやるようになってからは、各チームに固定ファンが付いている気がします。Burnign CoreやV3 Esportsなどは垂れ幕をファンの人たちが作りましたよね。

あぁいった文化が、いい形に出てきているのかなと思いました。オフラインでファン同士の繋がりも増えだしましたよね。とてもいいことだと思います。

―― 僕は一度DFMファンの飲み会には参加したことがあります。

スイニャン:他のチームのファンも、そういうことが行われている気がするんですよね。DFMほど大きな集まりではなくても。そういった繋がりが出来ているのはいいですね。

―― スイニャンさんは自分自身もファンミーティングを楽しんでいますよね?

スイニャン:最初はファンミーティングをどう楽しんでいいか、ファンの皆さんがわかってなかったんです。だから「こう楽しむんだよ!」と示す意味でも自ら楽しんでいましたね。

今となっては当たり前ですが、オフラインが始まってから当初、皆さん写真を撮っていませんでした。音楽のライブとかが写真禁止だからですかね?でも韓国のEスポーツでは「写真命!」なのですよ。

みんな撮りまくっていますし、会場に行けなかったらSNSであがっている写真を探します。だから私が率先して一眼レフカメラで撮って、それをツイッターにアップしていました。

―― 今ではファンの方たちは撮りまくっていますね。

スイニャン:大分写真を撮るのが浸透したので、一度やめようかなとファンの方に言ったら、是非続けてくださいと言われました。

理由を聞くと、ファンの前で見せる顔と違う顔を、私の前で選手たちが見せることがあるらしいんです。だから今でも、私も楽しみつつ続けています。

―― スイニャンさんはファンの方たちとも仲がいいですよね?

スイニャン:ファンの方たちとは積極的に交流したいと思っていますね。私もLJLのファンなので話が合うし、気持ちがわかるから話をしていて楽しく、仲良くさせていただいています。

控室で「ファンミーティングでこんな事があってね!」みたいなことを言っても、みんな優しいので話は聞いてくれますが、私の求めている反応が返ってくるのはリクルートさんだけなので(笑)

―― 僕も初めて訪れた時に、Revolさんと写真が撮れたのは、スイニャンさんが手伝ってくれたからでした。その時めちゃくちゃ嬉しかったです!

スイニャン:そういう方が結構いて、そういった手伝いもしたいんですよ。ファンなんだけど緊張して声がかけられないから、遠くで見ているという方が結構いて。そういう方に声をかけて選手の元に連れて行くんですよ。

「宝物のような写真が撮れました」とリプライをもらったこともありますね。いい思い出を作って帰ってもらいたいので、背中を押す役割が出来たらなと思います。

―― LJLでは日本語を話せる韓国人選手が増えてきていますよね。黙って微笑んでいるスイニャンさんが人気だったりするわけですが。あの辺りはどういったことをしているんでしょうか?

スイニャン:どういうやり方の通訳をするのか必ず選手と相談しているのですが、まず段階があります。全く出来ない人にはもちろん全て通訳するのですが、そのうち喋りが得意な選手と、聞くのが得意な選手に分かれます。

喋りが得意な選手は「日本語で話したい!」となるのですけど、聞き取りが追いつかないので質問を正確に韓国語に訳してほしいという形になります。

逆に聞き取るのが得意な選手には、日本語と韓国語同時に話されると頭が混乱するので、訳さないで欲しいと言われます。その後話すのは自信がないから韓国語で質問に答えるという形になります。

―― 色々あるんですね。

スイニャン:一番多いのは、一応日本語で頑張って、言葉に詰まったら韓国語という感じですね。今年だとOnce選手やDasher選手がそんな感じでした。「日本語でいい感じに話しているな~」と思っていたら、詰まって韓国語で話してくるということが何度かありましたね。

ほぼ完璧に日本語でいけるけど、万が一の保険でいてほしいと言われることもあります。それすらいらないなと思ったら、「あなた卒業ね」と一人で送り出します。

―― 今だと誰が卒業していますか?

スイニャン:Tussle選手、viviD選手、Steal選手ですね。

―― その他の選手はやはり厳しいものなのでしょうか?

スイニャン:ファンミーティングや配信で日本語を話していたとしても、生放送でカメラの前でのインタビューは難しいものです。また次の試合があって、頭を別のことに使いたくなかったり、激しい試合の後だと頭が回らないこともあります。

もちろん日本語を話してくれるのは嬉しいですが、色々と理由があるので選手としての気持ちも、理解してあげてもらえると幸いです。余談ですが、通訳がいるから無理やり使っているとかそういうこともないです。

私は放送の通訳以外でも結構色々と仕事をしていて、意外と忙しいんですよ(笑)会場に来ている人が知っている所なら、ファンミーティングでの通訳のお手伝いとか。

他にも韓国人選手が体調不良になった時にも、ルールとしてコーチやプレイヤーはポーズ中に会話してはいけないので中立の私が入ります。

―― 体調不良は大変そうですね。

スイニャン:今年になってから試合中の体調不良が多く、その中で長く試合が止まったことがありました。ある時、その韓国人選手は目に見えるくらいの体調不良になっていました。

幸い回復はしたものの、「もし病院へ行くことになったら私はついていかないといけないかな。この後も試合あるけど大丈夫かな」そういうことを考えていた時に気付かされたんです。

例えば地震や火事のようなことがあった時、私はその時も通訳しないといけないんだな、と。

―― 選手たちはパニックになってそうですね。

スイニャン:言葉がわからないと、そういう選手たちも出てくるかもしれませんね。例えばこの経路から出てくださいとか、逆に建物から出ないでくださいとか。ただの通訳ではなくて、色んな範囲で選手たちを守っていけたらいいなと強く思いました。

―― 深い話ありがとうございます。最後に目標があったらお願いします!

スイニャン:LJLの通訳で私のことを知ってくれている方が多いと思いますが、まず通訳の質をあげていくことですね。LOLの知識も全部覚えきれていませんし、チャンピオンも増えていくので、そのあたりも覚えていきたいなという目標があります。

あと、LOL以外にもEスポーツと韓国が絡んだところは私が役に立てることが多いと思うので、チャンスがあればどんどん積極的にやっていきたいなと思っています。

 

スイニャンさんありがとうございました。

この記事の著者

syouko

syouko

学生時代はスポーツでプロを目指し、その後スポーツのコーチへ。
CIV4マルチという闇のゲームを4年したあとLOLにハマり、アマチュアチームの代表兼コーチとして1年半運営。
LOLを競技として捉えている人達を応援しています。

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