ESJコラム『キルラインの向こう側』第1回~思考の瞬発力を身に着ける~

今回からESJコラム『キルラインの向こう側』というシリーズで、勝負事に携わる全ての方に伝えたい意見やノウハウを思うがままに書き連ねてみたいと思う。

ここでは、EスポーツのノウハウやEスポーツに特化した情報というよりはもう少し大きな軸で「勝負にかける人々の心理態様」や「Eスポーツで得た技術&ノウハウは他の領域で活かせるのか?」といったテーマについて特に書いていきたい。

というのも、自分自身、現在投資家&経営者として割とHappyに日々を過ごさせて頂いている自覚がある中で、自分のバックボーンとなったベーススキルにEスポーツが大きく関わったと思っているからだ。

恐らく、私の名前でこのサイトに辿り着いてくれた方の中には「投資の世界で自分も勝っていきたい」とか「勝負の場で活かせるメンタルタフネスを身に着けたい」と思っている方が多いと思うので、そのあたりの情報は比較的厚めに書いていくつもりだ。

で、早速だが今回のタイトルに書いた「思考の瞬発力」について。
これは投資でもゲームでも、ビジネスでも。勝負事全般に大きく関わってくる大切な素養と私は考えている。また、その前提として自分は勝負を勝ちにいくメンタルを以下の様な5要素と捉えている。

1)世の中に点在する情報から「正しい情報」を取捨選択して取り込む能力(ベースインプット)

2)その情報を自分のアウトプットとして定型化する能力(ベースアウトプット・身体づくり)

3)その基本能力を「対人の場」で実践する能力(胆力&自己管理能力)

4)自己/相手/市況などを「変化幅を考慮しつつリアルタイムに判断」する能力(即応性)

5)あらゆる材料に基づいてリスク/リターン効率の最適化能力(リスクコントロール)

思考の瞬発力、は、この中で言うと4に紐づいた3と5に深く関わる能力ではないかと自分では思っている。また、完全に独断と偏見だが日本人は精神構造の特徴として、3と4が弱い方が多いように思う。
多くの投資家の方や経営者と会ってお話をしてきた経験上、「正しい知識」を持っている人は結構多い。また「定まった条件と前提知識」の中であれば知識を実践に移せる、正解を導き出せる人もまた多い。恐らく、リスクとリターンの意味もちゃんとわかっているのだ。

しかし、これが変化する現場での実践となると一気に趣が異なる。刻一刻と状況が変わる中で、多くの人は「何が正しいのか」また、そもそも「何を前提条件として場面設定すればいいのか」を見失ってしまうのだ。

これは、私なりの解釈なのだが実践の場においては、0 or 100みたいな完全に白黒はっきり判断できるモデルケースは少ないからだと思う。教科書やセミナーが好きな日本人は 正しいor間違い みたいな構図や知識がとても好きなのではないかと思うわけだ。

しかし、相場においても、ビジネスにおいても、実際はゼロヒャクの場面は少ない。どの選択肢も相応に理由があり、メリットとデメリットが存在する。短期なのか、中長期なのか、時間軸によっても最適解は往々にして変わってくる。

そこで、どうすれば前に進めるのか?

自分がやってきたことは至極シンプルで「まず、やってみる。」これだけだったように思う。正直、何が正しくて何が間違いなのか、やってみないと解らない。ましてや、一般論を超えた、自分自身にとっての正解や合う/合わないなんて本当に自分にしか解らない領域なのだ。
ウダウダするくらいなら、やってみて自分の中で知識と経験値を貯めていけばよい、というか、そうするしかない。

この「まずやってみる」を即時実践&修正する能力こそが自分的には「思考の瞬発力」であり、細かい知識やロジックよりも余程重要な能力と思っている。ちなみに、実践する際に気を付けて欲しいのは下記の3点で、この注意点もまた、とても重要と考えている。

「勝負」ではなくて「自分を知るために」やっていることを自覚する
⇒リスクを大きく取り過ぎない。先行投資フェーズと本気で勝負する場面のメリハリはしっかりとつける。

「自分の行動が目指している最終的なWin」を正しくイメージする
⇒単発の成果を目的としたトレードなのか、中長期でのWinに繋がるルールの一端としてのトレードなのか、自分の行動がどこに繋がっていく行動なのかを意識する。もう少し突っ込んだ言い方をすると「目の前の小さなWin」と「最終的な中長期のWin」が違うことを理解し、より大きなWinに繋がる価値観をしっかりとブレずに自分の中に持つ。
(例えば)FXにおいてロスカットルールを守れず目先の小さな小金を稼いでも、最終的には破綻してしまう。LOLの様なゲームにおいても、チームとしてオブジェクトを取りに行くマクロ的な動きを無視して、自分の目先のキルや気持ちよさを重視した行動を取っていても自分がその瞬間気持ちよくても最終的にチームは負けてしまう、などなど。マクロ戦略に繋がる小さな行動の最適化&習慣化はとても大切。(≒それを可能とするのは、正しい価値判断、ルールの理解が必要だから。)

「1回2回でできると思わない」
⇒テニスを例に挙げると、教本を読んでからイメージ通りの球が打てるようになるまで何十球と打つし、仮に打てる様になっても成功確率は最初はとても低い。打てる自分に出会うこと、確度を上げること、それらはどちらも正しいフォームを意識して反復練習を続けるしかない。投資やゲームも同じこと。すぐ結果が出ないからと言って正しいフォームを意識しなくなったり、反復練習をやめてしまうと練度は上がらない。

この3つを意識しつつ、愚鈍に試行錯誤を繰り返していくのがなんだかんだいって一番の近道だったように思う。
上手く言えないけども、脳みそやメンタルにも瞬発力というか基礎体力のような概念は存在すると思っていて、あんまり頭でっかちに綺麗に考えようとすると逆に停滞してしまうイメージ。だから、投資もゲームも長距離戦なんだけども、その瞬間瞬間で「立ち止まってしまわない瞬発力」は大切。人よりも「早く」適正な判断を繰り返していく能力はどうしても必要になる。

100点の行動なんて解らないけど、それぞれの場面で「今よりも良い状況」もしくは「80点くらいで良いから即断でリスクよりリターンの大きい行動を目指す」という意識と胆力が身についていけば成功かな、と。勝負の場面においては時間はとりわけ有限なので。

日本人は「失敗を恐れる」気質や「農耕民族」であるベースがあるせいか、「100点の答えが見えるまでは勉強をする」みたいなスパイラルに陥る人も多く、実際は100点にたどり着く前に前提条件はどんどん変わっていき、グルグル回ってしまう人も多いように思う。そして結果、リスクは取りたくない、という思考に着地しがち。

勿論、いくつかの経験を経た結果そうしたリスク回避を選んだのであればそれはとても意義ある決断だと思う。ただ、そこに至る過程を経ず入口の段階で選択肢を狭めてしまう人もまたとても多い。サラリーマン率が高く、預貯金大国の日本は、こうした精神的バックボーンによって形成されているようにも思う。しかし、一方自分はこうも考える。生きていく上でリスクがない人生なんて無い。リスクのない仕事だってないはず。自分の適性やチャレンジの機会を損なう、という機会損失が一番のリスクになる場合だってあるということも、若い後続の方々には少し意識してもらって、より広い選択肢の中で時にはリスクを取りつつ、自分の適性を吟味してみて欲しい。

こういう自分の最適化と自己鍛錬を進めていく際には、Eスポーツは有益と思う。ビジネスでも投資でも、成長には失敗がつきもの。でも、全ての失敗を実践の場で行うと相応な負担になり得るはずだから。投資なんてその典型で、成長機会を得るたびにお金が減ると経済的にもメンタル面でもなかなかキツいものがある。

自身を振り返って本当に幸運だったと思うのは自分はFXでガッツリ戦う前に、対人ゲームでこうしたトレーニングをやり込めていたなあ、ということ。これは本当に幸運だったと思う。

そんなわけで、自身が得た幸運を、これから投資やビジネスの世界で勝負していく後続の方々に少しでもお裾分けできたら、と思ってこのコラムはスタートしています。
仕事の合間や移動中に書いていることも多く、乱文で恐縮ではありますが、興味ある方はお付き合いを頂ければ、と。需要なければ自然と更新頻度落ちると思いますし反響あれば、出来るだけ頑張って更新していく予定です(笑)

追伸

並行して、Eスポーツジャーナル発の社会人Eスポーツチームと投資家Eスポーツチームは結成&運営していきたいと思っています。

この辺りはまた次回以降で随時、情報公開していきますので興味あれば是非。参加ご検討下さい!

この記事の著者

Norihiro Fukuyori

Norihiro FukuyoriESJ編集長

Eスポーツジャーナル編集長Cerem(セレム)こと福寄 儀寛です。
自身のPCゲーム歴はピークは1990年代後半、UOとかAOE・AOCからWarcraft3などRTS全盛期まで。WC3はUS-WESTサーバでオンライントーナメント優勝経験有り。現在はFX投資家、IT事業家としています。
PCゲームは2年前にLOLへシーズン7から参戦。社会人でもEスポーツを楽しめるコミニュニティを作りたいという想いからEスポーツジャーナルを運営してます。ゲームを通じて学べる勝負勘、みたいなものをゲーム内外で活かせる世の中にしていきたいと思ってます。

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