- 2018-12-5
- ESJ編集部, ESJ編集部トピックス
- JeSU, 競技種目
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eスポーツタイトルのゲームプレイヤーの皆さん、最近「eスポーツ」が流行語大賞にもなったし調べてみた!という皆さん、こんにちは。
後者のeスポーツって何ぞや?という方は、こちらの記事でeスポーツという言葉について考え、「スポーツ=競技」という捉え方について記載があるので学びの一環としてご活用ください。
eスポーツの意味はばっちりだよ!という皆さん。この言葉は所謂サッカーや野球に当てはめると、「運動」というのと同じくらいの大まかなくくりの言葉でしかないのはご存知でしょうか。「eスポーツ」というこの言葉だけが独り歩きをしていますが、サッカーを詳しく説明すると、“「運動」の中の「球技」で、「団体戦」が行われるもの”と言えるように、eスポーツにも競技の種類やゲームタイトルがあります。そしてサッカーと野球のゲーム性や魅力が異なるように、eスポーツタイトルのゲームもそれぞれが異なる魅力を持っています。
今回はeスポーツをさらに細かく見ていきましょう。
認定になるまで
一般的に、プレイヤースキル(手腕)の影響が大きく、競技人口が多いものがeスポーツの競技種目となるゲームに選ばれる傾向にあります。
元々はMOD(プレイユーザーが作った改造データ)が流行って競技種目となったものから、ハードウェアメーカーやソフトメーカーによるより新しい技術の使われたタイトルを売り出す戦略的要素をはらんで取り入れようとするものまで様々です。各大会ごとに主催側が採用タイトルを決めます。大会は、国際的な大きいものからゲーム会社などが独自に大会を開催しているものまであり、こちらの規模も様々です。大会によっては公式に認定が必要になる場合があります。
日本では主に「JeSU」という団体が決定権を持ち、プロライセンスの発行をしています。
eスポーツ認定の競技種目
過去にeスポーツとして大会が行われたゲームの競技種目です。
FPS(ファーストパーソンシューティング)
主に銃や玉などの飛び道具を用いたシューティングゲームの一種に分類されます。画面が主人公の本人の視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲーム。基本的に画面に表示されるのは操作するキャラクターが見えている腕や武器・道具のみであるため、臨場感が強いのが特徴です。
操作するキャラクターの姿が見えるシューティングゲームは、サードパーソン・シューティングゲーム(TPS:第三者視点)として区別されます。
主なタイトル:カウンターストライク、コール オブ デューティ、レインボーシックス シージ
画像はレインボーシックスシージの公式サイトから。
本当に自分がゲームの世界に入ったような感覚です。今話題のVRの元祖といえます。
TPS(サードパーソンシューティングゲーム)
先に述べた通り、シューティングゲームの1つですが操作するキャラクターの姿が画面に表示されたアクションゲームです。
主なタイトル:World of Tanks、フォートナイト、スプラトゥーン
画像はスプラトゥーンの公式ムービーから。
操作しているキャラクターを見下ろしていたり、後ろから見ているような視点で操作します。スマートフォンアプリで人気の荒野行動もこちらのジャンルです。
RTS(リアルタイムストラテジー)
コンピュータゲーム(主にパソコン向け)のジャンルの1つです。戦略や戦術、時には兵站のような軍事的要素が重視されるストラテジーゲームというジャンルに属します。この中でも、命令および行動の順番が明確に決まっているターン制ストラテジー(TBS)ゲームとは異なり、プレイヤーはリアルタイムに進行する時間に対応しつつ、プランを立てながら敵と戦います。
オンラインストラテジーゲームや、マルチプレイオンラインバトルアリーナ(MOBA)もこちらのジャンルに含まれます。
主なタイトル:Age of Empires、スタークラフト、クラッシュ・ロワイヤル
画像はスタークラフトの公式サイトから。
ターンが無い分、相手の行動を考えて、適切なタイミングでコマンドを実行する必要があります。自分が司令塔となって1人で軍を動かすようなゲームです。
MOBA(マルチプレイオンラインバトルアリーナ)
先にあるように、コンピューターゲームにおけるRTSのサブジャンルです。RTSゲームの要領に加えて、①複数のプレイヤーが2つのチームに分かれ、②各プレイヤーはキャラクターを操作して味方と協力しながら、③敵チームの本拠地を破壊して勝利を目指すといった要素が含まれます。
一般的なRTSとの大きな違いとしては、1人で様々なユニットの軍勢を操作するのではなく、ゲーム開始時に選択した「ヒーロー(またはチャンピオン)」と呼ばれるたったひとつのキャラを操作します。その「ヒーロー」(ないしチーム)はレベル(および経験値)や多種多様なスキル、武器防具や装備品、所持金(HP、MPを含む消費コスト)といったRPG(キャラクターを操作し、架空の状況下にて与えられる試練を乗り越えて目的の達成を目指すゲーム)のような概念を持ち、RTSのユニットよりも幅広く成長するなどの要素があります。
主なタイトル:Dota 2、League of Legends、Vainglory
画像はリーグオブレジェンドのプレイ画面です。
1回1回ごとにリセットされるRPGのようなゲーム。アクションゲームのような操作も必要になりますが、最終目的は敵の本拠地を破壊することのためかなりの戦略的要素が多いです。
対戦型格闘ゲーム
プレイヤーとコンピュータ、あるいはプレイヤー同士が操作するキャラクターが、主に1対1の格闘技(もしくはそれに類する形式)で戦う対戦型アクションゲームです。コンピュータゲームのジャンルの一つでしたが、最近はコンピューター以外にも家庭用ゲーム機で発売されていたり、アーケードゲームとして普及もしています。
主なタイトル:ストリートファイター、鉄拳、大乱闘スマッシュブラザーズ
画像はストリートファイターの公式サイトから。
それぞれ右サイド左サイドに分かれる横移動視点。キャラクターごとに特定の順番で技を出すと強力な攻撃ができるコンボがあり、それを覚えるのが至難の業です。かなりの反射神経が必要。
SPG(スポーツゲーム)
スポーツを題材としたシミュレーションゲームの総称で、主にコンピュータゲームのジャンルを指します。 選手を操作してスポーツを行うアクションゲームが多いですが、コーチや監督となって選手を育てる育成シミュレーションゲームやチームのオーナーとなる経営シミュレーションゲームも存在します。各タイトルには「スポーツゲーム」のジャンルは付かず、「サッカーゲーム」のように「○○ゲーム」(○○はスポーツ名)と記される事が多いのも特徴です。
モータースポーツがレースゲームとして区別されていたり、武道や格闘技を題材にした作品は、各作品ごとにその特徴からスポーツゲームであるとされたり格闘ゲームであるとされたり区別は様々です。
主なタイトル:ウイニングイレブン、ロケットリーグ、実況パワフルプロ野球
画像はロケットリーグの公式ムービーから。
ようにサッカーというジャンルでも、プレイヤーの1人として操作をするものから監督のように指示を出すように操作するものまで多彩です。
レーシングゲーム
レースゲームとも言い、コンピュータゲームのジャンルのひとつです。実際のモータースポーツだけではなく、画面で主として乗り物を操縦し競走したり、RC(ラジオコントロール)模型や、ミニ四駆やチョロQなどの模型によるレースもレースゲームに含まれます。自動車やオートバイを筆頭に、自転車、船舶、飛行機、宇宙船、架空の乗り物など様々なレースゲームがあります。
ゲームだと視点(遠隔操作であるゆえに遠距離からのコース全体を眺める俯瞰視点になる)や重量感などが実車レースと異なるため、人気があります。
主なタイトル:F1(Formula One)、Need for Speed、GRAN TURISMO
画像はNFSの公式サイトから。
一人称視点や第三者視点など、こちらのジャンルも様々です。生身でないこともあり、実車のレースよりもeスポーツの方がよりエキサイティングなバトルが多いのが特徴。
PZL(パズルゲーム)
一般にはパズルをコンピューターゲームでプレイできるよう作られたゲームソフトのことを言い、パズルそのものとは緩やかに区別されます。コンピュータゲームのジャンルの一つです。従来のパズルがコンピューターゲームとして提供されることにより、操作の簡便さ、設問数や視聴覚面の充実、再挑戦のしやすさ、プレイ環境の手軽さ、実力に応じた難易度設定が可能、自動的な解答のチェックなど様々なメリットがあります。
最近は、パズル要素だけでなく、キャラクター要素やRPG要素のあるゲームも人気です。
画像はぷよぷよの公式ムービーから。
所謂“落ちゲー”です。昔からあるテトリスとぷよぷよは最新作でコラボしていますね。
TCG(トレーディングカードゲーム)
各プレイヤーがコレクションしたカードの中から、自由に、あるいはルールに則して組み合わせたカードの束—「デッキ」を持ち寄り、2人以上で対戦を行うゲームです。原則として、デッキはプレイヤーひとりひとりが1つずつ用意し、同じタイトルでも持ち主が異なるカードやデッキを混ぜて遊んではいけません。
ひとつのTCGには通常、何百種類という数のカードが存在し、それぞれのカードにはオリジナルモンスターやアニメーション原作などのキャラクターをはじめ、様々なイラストが描かれています。その描かれたイラストに合わせて、カードごとに異なった能力値や効果が与えられ、数字や文章などで表記されています。これらのカードを組み合わせて作るデッキは非常にバリエーションに富んだものとなり、 デッキを作るのもゲームの醍醐味の1つです。
画像はシャドウバースの公式サイトから。
自分のターンがあるTBSゲームで、反射神経ではなく頭脳戦です。
音楽ゲーム
音楽に合わせてプレイヤーがアクションをとる(画面で指示されたボタンを押す、ステップを踏む、楽器を模したコントローラを操作するなど)ことで進行するタイプのゲームです。
一般に、プレイヤーの行ったアクションが音楽と一致していれば得点が上がっていきます。逆に一致していなければ減点されたり(もしくはシューティングゲームのように得点が得られない)、なかにはあまりにも音楽が合わないと曲の途中で強制的に演奏が中断させられゲームオーバーになるタイプのゲームもあります。アクションのタイミングに一定のノルマが課せられ、そのノルマを達成できない場合にゲームオーバーとなるタイプのゲームもあり、中々シビアなゲームです。
主なタイトル:beatmania
画像はビートマニアの公式サイトから。
スマートフォンアプリでもたくさんの音楽ゲームがありますが、基本は落ちてくるレーンに対応するボタンをタイミングよく押すものが多いです。
MMORPG(マッシブリーマルチプレイヤーオンラインロールプレイングゲーム)
「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」などと訳され、オンラインゲームの一種でコンピューターRPGをモチーフとしたものを指します。ホストコンピューター側にひとつの世界(ファンタジー世界など)を構築し、各プレイヤーはパソコン通信の端末ソフトやTELNETターミナルソフトを介してサーバーに接続し、コマンドを入力して自分のキャラクターを行動させたり、同じサーバーに接続している複数のプレイヤーとのチャットを行うことが出来るゲームです。
特徴として、ゲームサーバ内に作られた世界には時間の存在があります。仮にプレイヤーが一人も接続していなかったとしても、ゲーム世界が存在し続けており、また時間が流れています。ゲームオーバーになってもセーブ地点に戻ったり自分だけリセットされる概念がありません。
類似でMORPG(マルチプレイヤーゲーム)がありますが、先に述べた時間の概念がなく、こちらはゲーム参加者を募った後、実際のゲームを開始するときにゲームの世界が作られてゲーム終了とともにその情報が(スコアなどを除いて)消去されるゲームのことを言います。
画像はブレイドアンドソウルの公式ムービーから。
このように他の端末で同じ時間にログインした仲間たちと大型モンスターを狩猟したりとゲームの中にも世界があります。
日本のeスポーツ
さて、このようにたくさんの競技種目があるeスポーツですが、ほとんどが“コンピューター”を用いたゲームという共通点に気が付きましたか?
先ほど日本のeスポーツの団体として「JeSU」をご紹介しましたが、こちらのeスポーツの歴史を見ると、海外でeスポーツという言葉が誕生し始めた2000年、日本は家庭用ゲーム機が大流行していました。そのため各ゲームタイトルのプレイ人口も少なければ、認知度も上がりにくかったのです。あわせて、子供は外で遊びなさい、ゲームは目が悪くなるというマイナスイメージも多く介入しにくい環境でした。
現在はeスポーツ競技大会の開催、eスポーツ選手の育成や地位向上などを通してeスポーツの普及に努めていた3団体が手を組んで「JeSU」を設立、eスポーツがアジア競技大会のみならずオリンピックの正式種目に採用されることを視野に入れて活動をはじめました。この団体がライセンスを発行することで実力が目に見える形となり、日本でもeスポーツのプロ選手が増え始めています。
日本でライセンスを発行しているゲームタイトル
現在は下記の11タイトルが認定されています。どんなゲームかは、先ほど述べた競技種目を見ていただければ想像できるかと思います。詳しくは各公式サイトでご覧ください。
ウイニングイレブン2018(SPG)、GUILTY GEAR Xrd REV2(格ゲー)、コールオブデューティー ワールドウォーⅡ(FPS)、ストリートファイターⅤアーケードエディション(格ゲー)、鉄拳7(格ゲー)、パズル&ドラゴンズ(PZL)、BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE(格ゲー)、BLAZBLUE CENTRALFICTION(格ゲー)、ぷよぷよシリーズ(PZL)、モンスターストライク(TBS)、レインボーシックスシージ(FPS)
ライセンス資格を持つプレイヤー
ライセンスには、一般の“ジャパン・eスポーツ・プロライセンス”と義務教育課程が終了していない13歳以上を対象とした“ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス”があります。現在は計128名がライセンス認定を受けています(詳しくはこちら)。
ライセンスがあるからプロ、ないからプロじゃないというわけではありませんが、まだ“プロゲーマー”という職業が確立していない今は1種の資格として大きな力を持っています。プロ選手が増え、皆さんの注目が集まることでより多くの大会ができ、日本でも盛り上がっていくといいですね。
「eスポーツ」という言葉が2018年の流行語大賞トップ10に選ばれたり、2020年に東京でオリンピックが開催することもあり、今後ますます注目度が高まりそうです。
ですが、忘れないでほしいのは前回記事にも記載した通り“私たちの手でeスポーツを競技にしていく”ということです。いくら強いプロ選手がいたって、運営が投資をしていたって意味はありません。努力をし続ける彼らを、一般の私たちが支えることで、はじめてそれが“競技”になるのです。だからこそ、私たちが正しく情報を知って受け止めることをしていかなければなりません。私自身も、皆さんが「もっと知りたい」「こんなのもあるんだ、面白い」という感覚が増えるように、これからもeスポーツに向き合っていきます。
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