「Esports日韓交流戦~PUBG~」に通訳として出演した話

Eスポーツジャーナルの読者の皆様、こんにちは。ライターのスイニャンです。不定期連載の第2回目となる今回も、わたしが出演したeスポーツ大会のお話をつづっていこうかと思います。大会のゲームタイトルは『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)』。最後まで生き残ると表示される「ドン勝」のメッセージが有名な、人気のバトルロイヤルゲームです。今回、わたしは日韓交流戦の通訳として出演させていただきました。

「Esports日韓交流戦~PUBG~」について

2020年12月5日(土)に開催された「Esports日韓交流戦~PUBG~」は、駐大阪韓国文化院主催のオンライン大会です。日本と韓国からそれぞれ8つのプロチームが出場し32vs32の小隊戦、日韓混合SQUAD、賞金総額100万円のかかった交流戦という3つのルールでマッチを実施するというもの。1日限りのイベント大会ではあるものの、非常に盛りだくさんな内容となっています。

<参加チーム>

 

 

日本 Ace1 (A1)
Crest Gaming Xanadu (CGX)
DetonatioN Gaming White (DGW)
RascalJester (RJ)
Sengoku Gaming (SG)
SunSister (SST)
V3FOX (V3F)
Zoo Gaming/Penguin (ZOO)
韓国 Afreeca Freecs (AF)
DAMWON Gaming (DWG)
emTek StormX (emT)
Gen.G (GEN)
GRIFFIN (GRF)
LAVEGA (LVG)
OP.GG SPORTS (OPGG)
VRLU GHIBLI (VLG)

こちらの大会でマッチごとに勝者インタビューを実施するのと、交流戦らしく両国の実況解説陣のクロストークも随時挟みたいとのことで、日韓通訳としてわたしが呼ばれる運びとなりました。eスポーツの国際戦では各国語配信が行なわれるのが一般的ではあるものの、こういった別言語の配信チャンネルの垣根を越えた交流というのは、今まであまりなかったのではないでしょうか。

オファーから前日までの通訳準備の裏話

わたし個人の活動に関して言うと、これまでRTS、MOBA、FPS、格闘ゲームなどさまざまなゲームタイトルの通訳を経験してきましたが、実はバトルロイヤルゲームの通訳はこれが初めて。そもそも『PUBG』自体、プロの大会こそたまに見ることはあっても、ちゃんとした知識を持っていたわけではありませんでした。そこでオファーをいただいてから1か月間、一定レベルの知識を身につけようと決意。幸い国際大会が頻繁に行われている時期であったため、観戦を楽しみながらゲームを覚えることができました。

今大会の1週間前に行われた「2020 INCHEON CHALLENGE CUP」では、優勝したOGN Entus(現DAMWON Gaming)のインタビューがとても良かったので、試しに翻訳して個人Twitterに掲載してみることに。これが大勢の方から好評をいただけたことで、未知のコミュニティへの不安を払拭するきっかけにもなった気がします。

スイニャンTwitter

試合の前々日には、両国の選手インタビュー動画5本分の翻訳字幕作業を担当。ここでようやく、勉強の成果を感じました。もちろん知らない言葉もあって調べつつ作業することにはなりましたが、覚えたての『PUBG』用語がたくさん出てきて「あっ、これ進〇ゼミでやったところだ!」状態。いつの間にか選手たちの話がかなり理解できるようになっていて、とても嬉しかったです。

試合当日のリハーサルの様子

配信は、東京・秋葉原にあるe-sports SQUARE AKIHABARAにて行われました。わたしの担当をしてくださっていた大会スタッフの方々とは頻繁に連絡をとっていたものの、お会いするのはこのときが初めてでした。さらに駐大阪韓国文化院の皆様とご挨拶させていただいた後、台本の読み合わせからスタートです。

選手たちは全員オンラインのため、出演者は実況解説陣2名と通訳のみ。実況のシンイチロォさんは、わたしが通訳として出演している『League of Legends(以下、LoL)』の国内プロリーグ「LJL」をよく観に来てくださっていて交流がありました。解説のArikaさんとは、日本最大級のLANパーティ「C4 LAN」で1度お会いしたことがあります。まさかこのおふたりと共演できる日が来るとは、人生何が起こるかわからないものですね。

おふたりはさすが、放送に慣れていらっしゃる感じで打ち合わせもスムーズ。わたしは『PUBG』通訳初挑戦でいつになく緊張していましたが、「わからないことがあったら僕らがカバーしますよ」と頼もしい限りでした。そしてリハーサルでは、クロストークを実施する韓国側の実況解説陣とも初めて会話をしました。実況はもともと『LoL』のプロゲーマーをされていたコスジン(GGoGGO)さん、そして解説は元『PUBG』プロゲーマーのキムドンヨン(Justice)さん。配信をご覧になった方はクロストークの盛り上がりを目の当たりにされたかと思いますが、実はリハーサルの時点ですでに意気投合していました。

試合の簡単なレポートをお届け!

ここからは、試合について簡単に振り返っていきたいと思います。まだご覧になっていない方は、是非VODも見てみてください。試合や選手インタビューが面白いのはもちろんですが、先に触れたとおり実況解説陣によるクロストークも見ものです。このレポートでは割愛させていただきましたが、『PUBG』の競技シーンにおける喋りのプロ同士の掛け合いが楽しめるのも今大会ならではと言えるでしょう。

動画






1試合目:日本vs韓国~精鋭だらけの小隊戦~

まずは日本代表32名と韓国代表32名が戦い、ドン勝を決めた代表国家が勝利となるマッチです。マップはErangel。試合開始直後から、韓国人選手たちの勢いがすごい。射線管理もセーフゾーンも関係なく、とにかく多人数で集まって突貫、リバイブの繰り返し。日本人選手はどんどん倒されてしまいました。

20人以上の韓国人選手がマップを駆け回るなか、気づけば日本人選手の生存者は、SSTのFhy選手ただひとり。丸腰で手を挙げて降参のジェスチャーを示すも、VLGのDAEVA選手の拳が容赦なく襲いかかります。これにより、言わば圧勝となった韓国チームでしたが、選手を代表してインタビューに応じたGen.GのLoki選手は、「厳しい戦いを経てドン勝を勝ち取った」とユーモアあふれるコメントで配信を盛り上げてくれました。


2試合目:日韓混合SQUAD戦

続いて行われたのが、日本人2名と韓国人2名でランダムに選出された混合チームでドン勝を目指すマッチです。マップはErangel。こちらは選手たちのボイスをランダムにピックアップして放送する形式です。日韓英の言語が飛び交うチームもあれば、沈黙が続くチームもあったりしてなかなか興味深いものがあります。「SHEVA, Calm down(落ち着いて)」の名言(?)も生まれました。

最終的に勝利したTeam8は、コミュニケーションがかなり上手く取れていたチーム。しかしSGのgaaamiii選手は、「韓国語はわからないけれど雰囲気で理解した」 とのことで周りを驚かせました。これに対しOP.GGのDumbo選手とGRFの2heart選手は、「gaaamiii選手はセンスがあるからこちらの言いいたいことを理解してくれた」、「CGXのRio選手が上手いプレイを見せてくれた」と日本人選手へ称賛をおくる場面も。


3試合目:日韓交流戦Round1 Miramar

ここからは賞金のかかった真剣勝負。3試合の合計ポイントで勝敗が決まります。まずRound1はこの日唯一となるMiramarで行われました。安全地帯がLos Leonesとなり、終盤では日本のRJとDGW、韓国のGRFとGen.Gが残る展開に。有利な位置を先に陣取っていたGen.Gがファイトでも技術力の高さを発揮し、最終的にドン勝となりました。


4試合目:日韓交流戦Round2 Erangel

続くRound2では、再びマップがErangelに。ランドマークがかぶってしまったRJとDWG、SSTとVLG、Ace1とAFなど奇しくも日韓チームが各地で激しい戦闘を繰り広げていきます。最終局面では試合前に話題となった通称・餃子山を舞台にOP.GGとLVGの一騎打ちが展開され、見事に撃ち合いを制したLVGがなんと19キルでドン勝をもぎ取りました。


5試合目:日韓交流戦Round3 Erangel

最終戦となったRound3もErangel。しかも先ほどと似たような航路をたどり、安全地帯も同じような場所へ。同じような展開になったからでしょうか、V3FOXが2戦連続で善戦します。唯一残った日本チームのドン勝が期待される状況でしたが、最後まで3人残っていたDWGが人数差で押し切ってドン勝を獲得しました。


3試合のポイント集計の結果、47ポイントを獲得したGen.Gが総合優勝!

『PUBG』通訳出演を終えて


(左から)実況のシンイチロォ氏、通訳のスイニャン、解説のArika氏

今回のお仕事で1番印象に残ったのは、『PUBG』コミュニティの皆さんがとにかく優しいこと。配信コメントも温かい言葉が多く、個人Twitterにメッセージもたくさんいただきました。また、共演者やスタッフの方々が本当に気を配ってくださり、大変感謝しております。心配していた音声環境も申し分なく、選手側の環境によって途切れたとき以外は非常にクリアで通訳もやりやすかったです。この場を借りて、改めて皆様にお礼申し上げます。

そして何より選手の皆さんがとても魅力的で、『PUBG』観戦の面白さも再認識しました。シューティングゲームで起こりがちな画面酔いもほとんどなく、俯瞰が多めで観戦しやすいです。安全地帯のランダム性による運要素の大きさを、試合数でカバーするとともにポイント制をとることで解消できているのも、競技性を高める工夫が行なわれている証だと言えるでしょう。

わたしのお仕事としての『PUBG』は、これにて一旦区切りがつきました。今後はこの1か月のように『PUBG』だけに集中はできなくなりますが、観戦が楽しいことに気づいてしまったのでできるだけ追っていきたいです。そしていつか日本はもちろん、韓国の競技シーンも取材してみたいなという希望を込めて、この記事を締めくくりたいと思います。

 

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この記事の著者

スイニャン

スイニャン

韓国在住時にeスポーツと出会い、StarCraft: Brood Warプロゲーマーの追っかけとなる。帰国後、2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を開始。また、語学力を活かして韓国人選手のインタビュー通訳や国際大会の日本代表団引率通訳などの活動も行っている。自らはゲームをほとんどプレイせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。大学時代に第二外国語で学んだ中国語も現在ブラッシュアップ中。

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