データで読み解くLJL2019 前半戦を終えて見えてきた各チームの強みと課題

Gismo_LJL_data

はじめに

皆さんこんにちは、LOLアナリストのGismoです。

LJLも11週中7週が終わり、振り返るには十分な時間がたったと言えるでしょう。ここまで順風満帆…とまではいかないものの順調なチーム、週を重ねるごとに成長を続けるチーム、または歯車がかみ合わず補強を重ねるチーム……。

様々なチームがある中で、今回の記事ではデータという側面からLoLプロリーグであるLJL 2019 Spring SplitのWeek7までを振り返っていきたいと思います。下記6つの基本的なデータを表でまとめてからチームごとにそれぞれ読み解いていきます。

・ファーストブラッド(以下FB)%
・ファーストタワー(以下FT)%
・15分時点でのゴールド差
・1Game毎のドラゴン取得数
・1Game毎のバロン取得数
・平均試合時間

※表のデータ、文章中のデータは試合出場数が4試合以上の選手のみ

データ

順位 チーム FB% FT% Gold差(15分) ドラゴン バロン 時間
1 DFM 57% 79% ↑1775 2.9 0.93 31:40
2 CGA 36% 71% ↑189 2.7 0.57 33:24
3 USG 54% 54% ↑1606 2.7 1 37:22
4 BC 57% 50% ↑474 2.3 0,57 34:55
5 RJ 38% 31% ↓487 1.9 0.54 33:30
6 SG 50% 50% ↓1188 1.8 0.5 33:28
7 V3 67% 33% ↓504 1.8 0.5 33:27
8 AXZ 43% 29% ↓1857 1.7 0.36 33:31

Week7終了時点での暫定順位で掲載。各スタッツの上位2チームは赤字下位2チームは青字で記載(タイも含む)。


DetonatioN FocusMe

DFM1

圧倒的王者 試合時間はぶっちぎりの最短

なんと全ての項目で上位2位にランクイン!これぞ王者、圧倒的です。特筆すべきは試合時間の短さでしょう。

LJLの平均試合時間が33:55と、ほとんどのチームが33~34分なのに対し何と31:40。試合時間が短いことで有名なLPLの平均試合時間32:15を大幅に下回る好タイムです。15分までのゴールド有利も1位なため、有利を手放さず試合の勝ち方・終わらせ方をしっかりと理解しているチームであることが見て取れます。

またドラゴン・バロンの取得率も高いのですが、一つ面白いデータがあります。それはどのドラゴンを優先するか、というデータ。DFMは出現したドラゴンの7割近くを手中に収めていますが、実は取られているドラゴンの半分近くはオーシャンドレイク。一方でインファーナル・マウンテン・クラウドは8割近く手に入れています。

こういったところからもチーム内で意識の徹底が図られていることがうかがえますね。

切り札は隠すもの

DFM2
そんなDFMですが、ドラフトでは2つほど気になるポイントがあります。

一つ目は奇抜なピックの少なさ。ポケットピック(選手が得意とするオフメタチャンプ)こそあれどV3やRJのリヴェンJGやランブルJGなどの奇抜なピックはほぼありません。

そしてもう一つが同じチャンピオンをスパムするという点です。Evi選手はサイラスを5回・Steal選手はシンジャオを6回・Ceros選手はハイマーを6回も使用しており、戦術を隠しているようにも見えます、

例えば今年のLCK序盤ではFaker選手が3体程度のチャンピオンしか使わず話題になっていましたが、DFMもそれに近しい策を取っているのかもしれません。


Crest Gaming Act

CGA1

徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く

さて、全て高水準なDFMとは打って変わって起伏が激しいのがCGA。まず目に入るのはFT・ドラゴン・試合時間の良さとFB%・ゴールド(15分時点)の低さ。

ドラゴンは勝っているチームが取れることが多いのでわかるのですが、2位チームにもかかわらずこの序盤有利の少なさは気になります。考えられる最も大きな要因がCGAのチームのスタイルです。

CGAは今シーズンからMidとAdcに強力な韓国人プレイヤー2人を置き、彼らを主軸としたチーム作りをしています。そしてAdc、Art選手の得意なピックはヴェインやカイサ・ヴラッドといったコアアイテムが揃ってから真価を発揮する、レーンはやや弱めのチャンピオンが多くなっています。

ただ静かなのは15分まで。短い試合時間からもわかる通り、勝てる時間になってからのスノーボール(坂道から雪玉が転がるがごとく有利をどんどん大きくすること)は他チームの追随を許しません。CGA初のプレイオフ進出まで待ったはなさそうです。

尊い犠牲

CGA2
FB%は上に記載していますが、LoLにはFirst Blood Victimというデータが存在します。意味は読んで字のごとくファーストブラッドの犠牲となる%です(チーム全体のFBデスを100%とした場合のプレイヤーのFBデス%)。

実はhachamecha選手、この数字がリーグ2位タイ(1位はEnty選手)の28.6%になっています。本来はGankを受けやすいTopレーンやBotレーンでAdcの代わりに犠牲となることが多いSupportなどが高くなる数字なのですが、CGAではJGのhachamecha選手がトップになっています。

JGでこの数値が高いということは、JG同士の1v1やレーナーを交えた2v2で負けが多いということでもあり、マップのコントロールを失うことにもつながってしまいます。もちろんCGAはレーナーが安定しているので相対的に高くなっているという可能性も十分にありますが、序盤を安定させることをプランとしているCGAにおいては思わぬ泣き所になるかもしれません。


Unsold Stuff Gaming

USG1

最速のスタート、最遅のゴール

USGもCGAとは違った方向で起伏のあるデータとなっています。一番は5敗しているとは思えない圧倒的なゴールド有利(15分)。1位DFMにこそ及ばないものの、これだけの有利をつくれるチームならリーグ1位になっていてもおかしくないと言えるでしょう。

ではなぜこれほどの有利を作りながら3位に甘んじているのか?それは試合時間にあります。USGの平均試合時間はなんと37:22。どれくらい長いのかわからない、という方のために例をあげると

・全リージョン(Worlds出場権があるリーグ)中4番目に長い
試合時間が非常に長く視聴者にハラスしてくるNA LCSを除けば堂々の1位

となっています。どれくらい長いかおわかりいただけたでしょうか?クラスに一人はいる、マラソンで開始即全力疾走してすぐ息切れするアイツかのような失速具合です。バロンの数値が高いのも試合時間が長いのに関連していると言えます。USGが今後優勝争いに加わるには、試合のたたみ方・中盤のスノーボールといった点が課題になるでしょう。

StatsKing Dasher

USG2
ここでは趣向を変えてDasher選手の驚くべきスタッツについてみていきたいと思います。

DPM:7131 2位Artと100近い差)
平均キル:4.6(Artに次ぐ2位
15分時点のCS差:↑12(Apamenの20!に次ぐ2位
ソロキル数:8(Luna,Evi,Artに次ぐ4位)
分間視界スコア:1.19(Hollisに次ぐ2位。ただしコントロールワードを置く個数は最下位

圧倒的ですね。DPMとCS差に関しては世界規模で見てもトップクラスで実力は間違いありません。……ところでDasher選手が2デス以上した試合でUSGが勝ったのは1回だけらしいですよ。


Burning Core

BC1

ところで、誰かノクターンのUltうった?

試合時間はやや長いですが、特筆すべきことも少なく勝率も50%・スタッツも平均値といったチームスタッツのBC。ですが、気になるスタッツが2つほどあります。

それがDPM視界スコアです。DPMは微々たる違いでしかないものの7位、ワード設置量とコントロールワード設置量はダントツワーストとなっています。

表にするとこのように(3位以上赤文字6位以下青文字)なります。

選手 ワード設置 ワード破壊 コントロールワード
Cogcog 6位タイ 8位 6位
Once 4位 4位 8位
Roki 8位 7位 6位
Moyashi 5位 1位 7位
Mocha 6位タイ 5位 8位

……明らかに視界が足りていません。ADCにワードを破壊させゴールドを集める、というMoyashi Carryのための考えは徹底しているようですが、それ以外の点は真っ青です。

DPMはBCのADCを活かすスタイル的にチーム全体として伸びないのはわかりますが、視界に関してはあまり擁護できません。試合時間が長いわりDPMが低く、テンポがあまり良くない試合展開が多いのもこの視界が原因なのかもしれません。

──ところで、誰かノクターンのUltうった?

Bot Lane Kingdom

BC2
さて、悪い点ばかりをあげつらっても仕方がないのでここからは良い点を。BCがBotレーンを中心としたチームなのは周知の事実ですが、それを裏付けるスタッツが残っています。

Yutorimoyashi
・ゴールド差(15分):499(ADC2位)
・CS差(15分):10(ADC1位)
・経験値差(15分):221(ADC2位)
Mocha
・経験値差(15分):68(Supp2位)

上記のように、BotレーニングにおけるスタッツではDFMにも勝るとも劣らなく間違いなくTopクラス。もしBCがYutorimoyashi選手をチームとして完璧に生かせるようになれば間違いなくもっと上を目指せるでしょう。


Rascal Jester

RJ1

耐えがたきを耐え……

RJはドラフト・ゲーム内ともに非常に特殊なチームです。Jg-Midのキャリーに重きを置き、TopとBotはセーフ気味のピックで耐えしのぐ。それが顕著に出ているのが15分までのゴールドデータ。チーム全体では↓487となっていますが、個々人で見ると

Alleycat:↓10
Wyvern:↑121
Hollis:↑208
scottlyk:↓513
Yuki:↓293

となっており、Botレーンは全プレイヤーワーストFTFB値がワーストクラスのも納得できる数値になっています。実際Wyvern選手はJGの中で1位のDPM:358を記録しており(キャリーピックをするのであればある種当然ですが)、ハマった際の爆発力はピカイチと言えるでしょう。

勝利のカギはレッドサイドと”波”

RJ2
面白いデータが2つ。実は今年のLJLはブルーサイドの勝率が60%を超えており、ほとんどのチームがブルーサイドのほうが勝率が高くなっています。そんな中、2チームだけレッドサイドのほうが勝率が高いチームがあります。それがSGとRJ

特にRJは自分たちでレッドサイドを選択することが多く、これがWyvernのキャリーピックを可能にしています。最後まで自分たちのメインであるピックを隠すことで相手にカウンターをさせずに勝利する、他にもカーサスをすでに出しておきラストピックでBotカーサスに変えるといったピックも行っており、うまくいけばよい戦略であるのは間違いないでしょう。

もう一つのデータが連勝・連敗。RJはここまで1勝4敗4勝4敗とまさにのある戦績となっています。このに乗ることができるかどうかが上位浮上のカギとなるでしょう。


Sengoku Gaming

SG1

Not Pay to Win

Week7でDFMへのジャイアントキリングを果たし一気に上り調子のSGですが、一つ気がかりな点があります。それは15分時点でのゴールド差15分時点での経験値差。

SGはBCと同じくADCを中心としたチーム作りをしています。しかし大きく異なる点が一点、それはどれだけのリソースを注ぎ込むか、です。それが如実に表れているのはKP(キル関与率)。Yutorimoyashi選手が66%にとどまっているのに対し、OdduGi選手はなんと78.4%もありこれはLJL選手中最多KPとなっています。

ここまでで何が言いたいかというと、つまりSGはOdduGi選手に全てを注ぎ込むのです、文字通り。これが先ほどの経験値・ゴールドの話につながります。SGはOdduGi選手を育てるためロームやダイブ・ワーディング等を行いすぎるあまりOdduGi選手以外の経験値とゴールドがあまりにも少ないのです。

数字で見てみましょう(3位以上赤文字6位以下青文字

選手 経験値(15分) ゴールド(15分) CS(15分)
Reiya ↓338(8位) ↓437(7位) ↓10(8位)
Smile ↓386(8位) ↓261(7位) ↓4(5位タイ)
Taka ↓524(8位) ↓488(7位) ↓5(7位)
OdduGi ↑72(4位) ↑206(3位) ↑8(2位)
Raina ↓288(8位) ↓208(6位) Supp CS XD

さっき見ましたね、こんな表。OdduGi選手にゴールドは入っているものの3位程度に収まっており、経験値に至っては微有利程度にすぎません。そりゃそうです、Botレーンの経験値をみんなで分け合っているんですから。

Taka選手・Smile選手がBotに力をかけすぎるあまりReiya選手のレーニングが苦しくなったり、Midのプレートが削られる光景は皆さんも記憶にあるのではないでしょうか。SGは一度どこにどれだけのリソースを払うかを考えるべきかもしれません。

このゲームは払った分だけ強くなる大人気スマホアプリとは違うのですから。

視界良好なれども波高し

SG2
今回も暗い話だけではなく明るい話題……もとい明るい視界の話をしましょう。

実はSGの視界関連のスコアはなかなかよく

・ワード設置数:4位
・コントロールワード設置数:3位
・ワード破壊数:3位

と、ここだけ見れば上位陣にも引けを取らないスコアになっています。最も貢献しているのはサポートのRaina選手で彼のスコアは

・視界スコア:2位
・ワード設置数:2位
・コントロールワード設置数:2位
・ワード破壊数:1位

となっており、かなりの仕事をしていることが分かります。

しかし一方で、ただでさえ装備が苦しい中で大量のワードを購入しているというマイナスな面も存在します。例えばDFMのGaeng選手は視界スコアが最下位ながらもチームのスコアはトップクラスであり、チームと連動し洗練されたワーディングであることがうかがえます。

Raina選手の働きは素晴らしいですが、無駄をなくし・チームと連動するという課題が残っているようにみえます。


V3 Esports

V31

”歪”なデータ

V3はデータを見る限り下から2番目のチームとは思えません。リーグ最高のFB%リーグ最低クラスのFT%・RJとさほど変わらないGold差(15分)…あれ、1個変なのが混ざりましたね。

そう、V3はリーグ最高のFB%にも関わらずリーグ最低クラスのFT%という歪なスタッツをしています。他の序盤スタッツを見てみても

ドラゴン(15分):3位
・ヘラルド取得数:1位
・タワー差(15分):7位

と、タワーだけが取れていない状態になっています。しかもヘラルドを取れているにも関わらず、です。

本来ヘラルドがあればタワーを折りきるのは容易になるはずですが、V3に限ってはそうではないようです。1stタワーのタワーゴールドは650G、加えて14分以前であればプレート分で800Gも上乗せされ1450Gという莫大な有利につながります。

V3 EsportsがFBを取っても中盤の有利・ひいては勝利までつながっていない要因はこのタワーゴールドの獲得が出来ていない状況にあるのではないでしょうか。

Best “Carry” Top laner in JP…?

V32
「日本一のTopレーナーといえば?」と質問されたら、恐らくほとんどの人が迷いなく「Evi選手」と答えるのではないでしょうか。私もそうですが。しかしCarryという点においては、もしかしたらPaz選手が超えていくかもしれません。論より証拠、データを見てみましょう。

・DMG%(チーム内のダメージ割合):29.3%(1位)
・DPM:491(1位)

おわかりいただけたでしょうか?ダメージという一点においてはPaz選手は他の追随を許していません。もちろん使用チャンピオンにディーラーが多いというのもありますが、Topレーナーで29.3%というDMG%は世界全体でもなかなか見られません。

しかし気になる点も。これだけのダメージをたたき出していながらソロキル回数はわずかに”1”にとどまっています。もしPaz選手がチームファイトだけでなく、レーニングでも爆発することができれば状況が一気に改善されるかもしれません。


AXIZ

AXZ1

”最大瞬間風速”で決めろ

AXIZは勝敗では食らいついているものの、スタッツ的には圧倒的最下位です。特にタワー関連では

・タワーロスト(平均8.4)
・タワーキル(平均2.5)
・ファーストタワー(28.6%)

全て最下位です。

しかし、最下位であることに勝利の理由がありました。考えてみてください、タワーを一試合平均2.5本しかおれていないチームがどうして勝利できるのでしょうか?考えられる理由は勝ちを決める瞬間の瞬間最大風速です。

LoLというゲームはネクサスを破壊するゲームです、いくらタワーを折られようと耐えしのぎ一瞬のスキを突き一点突破で勝ち切る。それができる強さがAXIZにはあるのではないでしょうか。

Champion Universe…?

AXZ2
Champion Universe、直訳するとチャンピオンの宇宙。もともとはEUのNukeduck選手の非常に多彩なチャンピオンプールから生まれた言葉で、プールどころか宇宙のように広いという意味があります。

実はAXIZのGariaru選手。ここまでの14試合で実に11体のチャンピオンを使用しています。AXIZはリサンドラSupportやオレリオンソルMidなど様々なユニークチャンピオンを使用していますが、Gariaru選手のチャンピオンプールが一役買っているのかもしれません。


まとめ

ここまで様々なことを書いてきましたが、結局データでは測れないものがあるのもLoLの良いところです。ゴールドで10k差をつけていようと、インヒビターをすべて破壊していようと負けた例は過去いくらでもあります。

盤石と思われていたDFMにも土が付き、いよいよ面白くなってきました。今後各チームがどう修正し・どのような戦略を取り・そして結果はどうなるのか、一時も目が離せません。

それでは今回はここらへんで。感想等ございましたら是非Twitter(@HakabaOMW)までお願いします。

その他、LJLの各週のレポート記事は最下部にリンクがありますので、そちらも合わせてご覧ください!

参考資料

Games of Legends今回ほとんどのデータをこちらから引用させていただきました。非常に有用なデータが数多く揃っている素晴らしいサイトです。

LJLレポート記事
すべての週のLJLレポートを写真多めでお届け中! 試合の流れなども要点を抑えてご紹介しています!ぜひご覧ください!

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