- 2018-10-19
- Eスポーツを楽しもう

先日、大好きなネットサーフィンをしている時に、とあるSNSの投稿が目に留まりました。
10月13日、青学でeスポーツのシンポを開催!
「eスポーツ論 ゲームが体育競技になる日」ゲームもまた競技になる時代。
トークセッションや、
プロeスポーツアスリートで、青学卒業生の椿彩奈さんによる
「ぷよぷよ」プレイを行います。
是非!https://t.co/uM99yPYYTT@AoyamaEsports pic.twitter.com/4KFClDtTtC— 青学イベント情報局 (@aoyama_event) October 10, 2018
私は関係者やプロの方からすればeスポーツにわかでしょう。
でも、それでも、言わせてください。「eスポーツの“e”ってなに?」だとか「ゲームが体育競技になる日」とか、こういう導入は誤解を招くのではないか。
なぜなら、これらの疑問の裏側に
「所詮ただのゲームでしょ?」
という気持ちがひしひしと伝わってくるからです。実際Google先生の検索上位に多いので、目を引く導入としてはばっちりなのですが、万人がeスポーツを理解していないがゆえに講義を聞いていない方たちはあらぬ誤解をします。
現に、私がeスポーツの話をすると、「どんなトレーニングなの?」とか真顔で尋ねてくるツワモノだっています。君の頭はスポーツ=体育なんだね。そこから説明しようか、うん。
というわけで、今回は「eスポーツ」という言葉だけに注目して、皆さんの認識に新しい風を吹かせたいと思います。
そもそもeスポーツって?
「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。
みんな大好きGoogle先生に聞いてみると、検索結果上位サイトだと大体同じ内容が記載されています。漢字が多いので、私個人の独断と偏見でめちゃくちゃ簡潔にまとめると、
ゲームもサッカーや野球のように、人と競い合って勝敗を巡る熱い競技なんだよ。
と、いう考え方のことです。
—え?あのゲームでしょ?座ってやるやつ。スポーツってどういうこと?Wiiとかそんな感じ?
ちなみに、こちらのセリフは実際に尋ねられた言葉そのままです。うーん、おしい。30点。というところでしょうか。Wiiというように電子機器名が出てきたところは正解です。eスポーツは電子機器がないとできません。サッカーでいうボールあるいはコートと同じ感じです。あとの70点は、そもそもの言葉の認識が違うから出てくる疑問でしょう。
スポーツ=体育的認識
皆さんは、「スポーツ」という聞き慣れた単語の勝手な解釈がありませんか?わからない単語を、頭で理解しようとするがために言葉を分解して自分の知識の言葉と合わせるんですよね。これが人間の本能なのは充分わかります。ですが、だからこそこの記事を読んでいる方には考えてみていただきたい。
そもそも「スポーツ」に触れたのは学校の授業ではないでしょうか。それも、保健体育や実技の授業。国語辞典で「スポーツ」という単語を引いた人はそういないはず。それでは、教えて、Google先生!!
スポーツ—競争と遊戯性をもつ広義の運動競技の総称。激しい身体活動や練習の要素を含む。本来,人間が楽しみと,よりよき生のためにみずから求め自発的に行なう身体活動であり,ルールを設けそのなかで自由な能力の発揮と挑戦を試み,最善を尽くしてフェアプレーに終始することを目標にする。
「身体活動」というまたしても聞き慣れない言葉が出てきたので、こちらも合わせて調べてみましょう。
身体活動—人が安静時よりも相応に多くエネルギーを使う営みの総称。
Google先生ありがとう。この検索結果をゲームに当てはめてみましょう。
まず、「競争と遊戯性をもつ」という部分は、年末に親せきと集まってわいわいマリオパーティーやるイメージをもっていただければと思います。イメージできない人がいたらMY BADです。コメントください。
次の、「激しい身体活動や練習の要素を含む」は、頭脳や記憶を頼りに戦略を練ったり、ラスボスに何回も挑むあれです。決してWiiリモコンでドラクエをやって腕が筋肉痛になったり、セーブしなかった行き場のない怒りをコントローラーにぶつけるやつじゃないです。
最後の、「ルールを設けそのなかで自由な能力の発揮と挑戦を試み,最善を尽くしてフェアプレーに終始する」は言うまでも無いですね。各ゲーム設定がある世界です。
—あら不思議!「スポーツ=ゲーム」なんです。
「マインドスポーツ」というとらえ方
冒頭で「ゲームが体育競技になる日」という言葉を使いましたが、実はゲームを体育という枠組みに組み込まなくても、既に立派なスポーツなんです。
でも、皆さんは今、数学の関数を解き終えたあの感覚に陥っていることと思います。解き終えたから間違ってはいないのはわかるけど、なんでA=Bになるんだよ!と。。
そんな方たちのために、頭のいい方々はこのような言葉を作ってしまいました。
マインドスポーツ—高い思考能力を用いて競われるゲームを一種のスポーツとしたもの。頭脳スポーツとも呼ばれる。
1996年に教育コンサルタントトニー・ブザンによって、バックギャモンが記憶能力や判断能力などの脳の肉体的能力を使う「スポーツ」であると呼ばれ始めたのが起源である。ブザンは1997年にマインドスポーツオリンピアードという複数のボードゲームやカードゲームで競う大会を開催し、「スポーツ」といえば運動競技という考えが定着しているヨーロッパに、新しい「マインドスポーツ」の概念を導入しようと試みた。
Artue アート用語
※国際フォーマットで英字のページしかなかったため、ウィキペディア引用になっています
ありがとう頭のいい人たち。先ほど私が一生懸命解説を試みた「スポーツ=ゲーム」の話が全部いらないくらいの素敵な言葉。あの話の後だとなおさらすんなり頭に入りそうですね。
そう。まさに、eスポーツの話をしてくれています。
ちなみに、マインドスポーツにはボードゲームやカードゲームの大半が含まれるそうです。丁半やルーレットなど運が支配的なカジノゲーム(ギャンブルゲーム)は、競技性の高いポーカー以外は除外。
日本で有名な競技ですと、最年少記録を何度も塗り替えていることで話題の将棋、実写化映画が大ヒットした百人一首、などなど。。そういえば将棋も百人一首も言い方を変えればゲーム。棋士の方は対局で痩せるほどのエネルギーを使いますし、百人一首もあのスピード感に目がいきますが、何よりも初めの暗記タイムが勝敗の鍵になります。どちらも頭脳戦。
ここで、皆さんの考え方がふっと変わったのではないでしょうか。
eスポーツと聞いて、無意識にサッカーや野球といった体育的な競技と比較していませんでしたか?
そうです。「スポーツ」という単語だけで無意識レベルで比較対象がそもそも違くなってしまうのです。eスポーツは立派な「マインドスポーツ」なのですから。もう一度言いなおします。
ゲーム(eスポーツ)は、人と競い合って勝敗を巡る熱い競技なんです。
競争と遊戯性で成り立つ「スポーツ」
—でも、ゲームだよ?競技なんてそんな大したものじゃないじゃん。
スポーツ=ゲームが解決しても上げ足を取りたがる、そんな方もいるでしょう。
皆さんが育ってきた環境は、大半の方が「ゲーム=遊び」だと思います。「ゲームは1日〇時間まで」「ゲームして引きこもってないで外で体を動かしなさい」「目が悪くなる」、、こんな風にゲームに対して娯楽のイメージを焼き付けられる育ち方をしたのはきっと私だけじゃないはず。なので、「所詮ゲーム」と言う気持ちもわかります。
学生の時、運動ができるだけでモテモテハーレム生活が送れ、ゲームや本が好きだと陰キャ扱いになる、あれくらいごく当たり前の価値観です。
その時代の後者代表として、とあるeスポーツプロ選手の言葉を皆さんに聞いてほしい。
「(例え野球やサッカーでも)見る人がいなければ、遊んでいるだけで、ただのゲームだと思うんです。だけど見る人がいて、そこにお金を払ってくれる人がいるなら、それはPCのゲームでもしっかりとした仕事になるんじゃないか……って伝えたら、祖父も納得してくれました」
私はこれを読んで感動しました。「(電子機器)ゲーム=遊び」という概念が自分の中に残っているため、この気持ちを覆すいい言葉をずっと探していたからです。たしかにそうだ。マインドスポーツで将棋や百人一首もゲームと言ったように、サッカーや野球も立派なゲーム。
そこにファンという一般人が加わって初めて競技になるのです。
私たちでeスポーツを「競技」に
私は、eスポーツとサッカーや野球の決定的な違いは「実際に触れる機会があったかどうか」だと考えます。
自分は超がつくほどの運動音痴で、自分ができなくてつまらないから、という理由で選手について詳しく調べたり、競技場に行ったりしないタイプです。それでも、ワールドカップや甲子園の時期は知っていますし、TV越しに観戦します。自分が学生時代に授業で経験しているため、ルールも分かれば選手たちの凄さもわかるから、応援したくなるし、感動が生まれるのではないでしょうか。
eスポーツは、まだまだ日本では明るみに出ていないです。それどころか、冒頭から熱く語ってきたように言葉だけが独り歩きして、誤認識されています。
そんな今だからこそ、私たちがeスポーツに積極的に触れていくべきです。
皆さんも、実際にプレイしてみてほしい。それが難しいなら、ぜひ観戦だけでもしてみてほしい。
そうすれば、「20代が花」と言われる意味も、そもそもここまで言葉にしてきたものも全部体感できます。私もただのゲーム愛好家から世界が180度変わりました。
eスポーツのファンが、1人でも多くなることを願っています。